病気などで親を亡くした子どもの進学を支援する一般財団法人「あしなが育英会」は16日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で生活が苦しくなっている遺児家庭を支えるため、すべての奨学生に一律15万円を支給すると発表した。
対象は大学や高校、専門学校などに通う奨学生約6500人。入金口座を登録済みの約5千人には今月中に送金し、新入生約1500人にも口座登録作業が終わり次第、送金する。
あしなが育英会として奨学生全員への一律の現金支給は初めてという。育英会がこれまでに募金活動で集めてきた積立金約60億円から、約10億円を一時的に取り崩して財源に充てる。
育英会によると、アルバイトをして学費や生活費を稼ぐ奨学生が少なくないが、緊急事態宣言による外出自粛の要請で多くの店などが営業を取りやめ、学生のアルバイト収入も減っているという。母親が派遣社員や契約社員など、不安定な雇用条件で働いている遺児家庭も多い。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、育英会は今月1~10日、全国の奨学生の保護者を対象にアンケートを実施し、281人から回答を得た。「コロナの影響で収入が激減した。どこまで持ちこたえられるか不安」「食費を削りに削っているが、もともと少ない収入なので限界」「高校生の息子の諸経費を払えない」「家計を助けてくれている子どもたちもバイトができない。これからどうなるのか本当に心配」など、経済的な不安定さを訴える声が多く寄せられたという。
育英会では毎年、春と秋に全国の街頭で「あしなが学生募金」の活動を続けてきた。今月下旬に予定していた街頭募金は通算100回目の節目だったが、中止に。50年の歴史で初めてのことで、現在はホームページ(https://www.ashinaga.org/)で募金を呼びかけている。(土屋亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル